体臭と病気の深い関わり


体臭が隠れた病気を教えてくれる。こともある。

体臭と病気の関わりについて書かせていただきます。
体臭を嗅ぐだけで、本人も気が付かなかった隠れた病気を見つける事ができる。かもしれないというお話。

「嗅診(きゅうしん)」をご存知でしょうか。嗅診とは、体臭や口臭など体のにおいを嗅いで病気を診断する方法で、中国医学では「聞診(ぶんしん)」とよばれています。
嗅診の歴史は古く、そのルーツは紀元前4~5世紀、古代ギリシャまでさかのぼります。日本でも、明治時代までは内科医の一般的な診断法だったそうです。しかし、医学が進み、レントゲン検査や血液検査などが一般的となった現代では、体臭で病気を診断する事もなくなり嗅診も死語となりました。
ではありますが、病気を患うことで体臭が変わってしまうことは昔も今も変わりはなく、嗅診が今でも有効な病気の診断方法であることは間違いありません。

動物でも植物でもすべての生き物には種特有の「におい」が存在します。それは人間も例外ではありません。汗をかけば汗臭がしますし、年齢を重ねれば加齢臭も強まります。また、睡眠から目覚めたばかりの時は誰だって口が臭うものです。こうした生理的な体臭は問題ありません。人間生きていれば体臭の一つや二つあって当たり前なのです。しかし、それが「いつもと違う変な臭い」であったらなら、体調の変化に対して少し敏感になるべきかもしれません。その、「変な臭い」こそが隠れた病気を知らせる、体からのシグナルの場合があるからです。
では、病気を患うと体臭はどのように変わってしまうのでしょう。

甘い・甘酸っぱい、熟した果実のような口臭・体臭・尿臭は糖尿病の疑いあり

体臭や口の臭いが、甘い・甘酸っぱい場合、糖尿病を患っている可能性があります。臭いの原因は「ケトン体」という物質。このケトン体の放つ臭いこそが糖尿病特有の甘い臭いの正体なのです。ケトン体が作り出される仕組みとは?そもそも糖尿病とはどのような病気なのか?簡単にご説明します。
私達は食事により様々な栄養を摂取し、それをエネルギーに変える事で生命を維持しています。なかでも重要な栄養素の一つが、でんぷんなどの糖質(炭水化物)で、御飯や麺類、パンなど、いわゆる主食とよばれる食べ物です。
糖質は消化されブドウ糖となり、血液中から全身の細胞に取り込まれエネルギー源として利用されます。食事によって糖質を摂取すると、血糖値(血液中のブドウ糖の量)は高くなりますが、運動などによってブドウ糖が消費されると血糖値は下がります。健康な人の場合、食事や運動の前後で血糖値の数値が極端に変動する事はありません。これは、インスリンという血糖値を下げるホルモンと、その逆の働きをするホルモンがバランスをとり、血糖値を安定させているためです。
インスリンは血液中のブドウ糖を筋肉や肝臓へ取り込み、エネルギーに変えて消費することで血糖値を下げる働きを担っていますが、糖尿病を患うと、インスリンが十分に機能せず、そのためブドウ糖を有効に消費することがでません。そうなると、血糖値の高い状態が続き、身体に様々な影響が出てしまうのです。
インスリンが十分に機能しない体内では、エネルギーをブドウ糖から得ることが出来ず、その代わりに脂肪を脂肪酸に変え、それを燃焼させることでエネルギーを得ようとします。この過程で作り出されるのが、甘酸っぱい臭いを放つ「ケトン体」です。
ケトン体は血流に乗って全身へと運ばれ、甘酸っぱい口臭や体臭、さらには尿臭となり周囲へと発散されるのです。「甘酸っぱい体臭は糖尿病の疑いあり」です。

肉の腐った臭いが口からしたら口腔系・鼻腔系・呼吸器系の病気を疑え

肉の腐ったような臭いが口からするのであれば、口内炎、歯肉炎、歯槽膿漏といった口の中(口腔)の病気、鼻や喉の病気(蓄膿症・扁桃腺炎など)、呼吸器系の病気(肺炎・気管支炎など)を患っている可能性があります。強烈な口臭を発しますが、臭いの当事者である本人には自覚がありません。筆者も歯槽膿漏を患い同じ体験をしました。かなり強い口臭を放っていたらしいのですが、自身の口臭に自ら気が付くことはできませんでした。

その他、病気が疑われる様々な口臭

卵の腐ったような口臭
口から卵の腐ったような臭いがする場合、胃腸の病気を患っている疑いがあります。胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍などです。これらの病気を患うと、消化不良のため食べ物が体内で異常発酵し卵の腐ったような臭いが発生します。作り出された臭い物質は血流にのって肺へと送られ、そこから呼気や口臭となり、口から周囲へと広がっていきます。
ネズミ臭・カビ臭・ドブ臭に似た口臭
口から、ネズミ臭・カビ臭・ドブ川のような臭いがした場合、肝機能の低下や、慢性肝炎を患っている疑いがあります。肝臓は、食べ物の消化に必要な胆汁の合成・分泌、蛋白の合成・栄養の貯蔵、そして有害物質の解毒・分解、を担う大切な臓器です。しかし、様々な原因により肝機能が低下すると、本来肝臓で分解されるはずの臭い物質が分解しきれず口臭となって口から外へ発散されます。
アンモニア臭のような口臭
口から、尿やトイレ臭のようなツンとした臭い(アンモニア臭)がしたなら、腎機能の低下や尿毒症の疑いがあります。腎臓は、血液をろ過し、体に不要な老廃物や塩分を尿として体外に排出します。しかし、腎機能が低下すると、排出がうまくいかず体内に老廃物などの不要物質が蓄積してしまいます。すると、口臭や体臭がアンモニア臭に似た臭いになります。

尿や便の臭いがいつもと違う場合

便から腐敗臭
便秘などによって腸の機能が低下すると腸内の異常発酵が進み、便の腐ったような臭いが発生します。
尿からアンモニア臭
強いアンモニア臭に加え、排尿時に痛みを感じる場合、尿路感染症の疑いがあります。尿は、腎臓で作られ、尿管から膀胱へ、最後に尿道を通って排出されますが、その経路のどこかで細菌に感染し、炎症が起きている可能性があります。疲労やストレスなどによる免疫力の低下で発症する場合が多く、頻尿・残尿感・排尿痛に加え、尿に血が混じる場合もあります。
病気ではありませんが…

飲食によって尿が臭くなる場合があります。ニンニクやニラ、玉ねぎなどの他、珈琲やアルコール、カレーなども尿の臭いを強めます。

体臭の変化は体調の変化を知らせるサイン

人間も生き物ですから体臭があるのはごく自然なことです。体臭が全くない状態こそ逆に不自然というもの。体臭はあって当たり前なのです。ですが、もし、その体臭がいつもと違うと感じたなら、それは体調不良を知らせる体からのSOSかもしれません。
加齢臭の消し方をご紹介する当サイトで、こんなことを書くのは変かもしれませんが、体臭を完全に消し去ろうと考えるのは間違いです。
体臭の変化は、本人でも気が付けない体調の変化を知らせてくれるサインなのです。
もしも、自身の体臭の変化に気が付いたら、或いは臭いの変化を指摘されたのなら、体臭を消す事だけに集中するのではなく、なぜ臭いが変わったのか?その体臭がなぜ自分から出ているのか?その理由を探り、もし不安であれば病院にて医療の専門家である医師の助言を受ける事をお勧めします。
病院を受診し、異常が無いと診断されれば、不安は解消されますし、逆に何か異常が発見されたのなら、その病を早期の段階で治療する事ができます。
世間では、体臭は邪魔なもの、悪いもの、というイメージを持っている方が大半だと思います。ですが、体臭が発生するのにも意味があって、その存在は決して悪いことばかりではないのです。普段、私達を困らせることの多い体臭ですが、時に、私達を助けてくれる存在でもあることを知っていただけたら幸いです。

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